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西加奈子のパワフルさに圧倒される『漁港の肉子ちゃん』【読書屋!】

どうもー、ケスイケリーガです。

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西 加奈子さんの印象「どえらい関西弁でパワフルな人」だなーという印象そのままが小説に描き出されているとは到底知らずに手に取ってしまいました、西加奈子『漁港の肉子ちゃん』

型破りのパワフル小説でした

いろいろなメディアにも出ている作家 西 加奈子さんの作品で初めて読んだものです。なにかの番組で(たしか「さんまのまんま」だった気がするが・・・)彼女が出演しているのを見た時の「どえらい関西弁でパワフルな人」という印象のまんまの小説でした。

こんなに作家の個性が全面に出ているパワフルな小説、私は知りません。小説って型なんてないんだなって、そんなことすら思わせる特異な文章。ちょっと予想以上に打ちのめされてしまいました。

 

ざっくりあらすじと感想

タイトルでもある「漁港の肉子ちゃん」とその肉子ちゃんの娘、喜久子がこの小説の主人公。ある漁港を舞台にこの親子の周囲で起こることを描いた小説だ。

肉子ちゃんは全てがストレートで自分の思ったことが全て言動として出てしまう、しかもかなりオーバーな形で。喜ぶときには大いに喜び、驚いたときには大いに驚く。まさにLet it goどこまでも突き抜けてありのままなのだ。

 

一方、娘の喜久子は小学校5年生の思春期のスタートラインに立ったような女の子。周りを気遣い、見た目も肉子ちゃんとは違ってかなり美形な女の子。彼女は肉子ちゃんの実の娘でないことを理解している。喜久子はできるだけ迷惑にならないように気を使って生きている。

 

中盤以降から肉子ちゃんと喜久子の過去、関係性が見えてくる。その壮絶な過去に驚くばかりで、読者は開いた口が塞がらない。西加奈子のストーリーに圧倒されることは間違いない。

 

母娘の対比にこの小説の真骨頂がある

私たちの多くは世間体や外聞を気にするあまり自分自身に正直になることができない時がある。

喜久子がまさにそうであり、自分自身に正直に生きることと誰にも迷惑をかけてはいけないといった自分を抑えて生きることの間で揺れる。

 

 

この一方で、肉子ちゃんはそんなことは全く気にしない100%自分自身に正直なのだ。

 

この母娘の対比が本作を面白おかしくさせ、考えさせられるテーマを提示している。

 

正反対の母娘がお互いを愛し合うことの美しさと純粋さをどこまでも感じることができる。

 

"肉子ちゃんは、佇まいそのものが、不細工なのだ。「でもな。」私は、鼻水と、涙だらけの、肉子ちゃんの手を取った。肉子ちゃんと対照的に、私は、ちっとも泣いていなかった。「うちは、肉子ちゃんのことが大好き。」"

 

それでは、グッバイ!

 

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