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このミス大賞史上最大の問題作!超刺激的なミステリー!『果てしなき渇き。』【読書屋!】

どうも!ケスイケリーガです!

このミス大賞史上最大の問題作深町秋生『果てしなき渇き。』を紹介します!

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2014年に「渇き。」として映画化された原作

2005年第3回「このミステリーがすごい!大賞」で大賞を受賞した小説です。また、2014年には役所広司さんが主演で映画化もしています。

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当時は相当な話題作であったと記憶しています。とにかく怖いという印象で持ちきりでした。お化けとかホラーという意味での怖さではなく、人間の禍々しい部分が前面に押し出されているためです。

ドラッグやセックス、暴力など刺激的な要素を存分に詰め込んでいます。てか、かなり刺激が強いので、本を読む方も映画を見る方もぐっと力を入れて臨んでください。

 

ざっくりあらすじと感想

ある街で発生した殺人事件に遭遇した藤島という元刑事が主人公。

藤島には離婚した妻と加奈子という高校生の娘がいた。

 

ある日、離婚した妻から加奈子がいなくなったという連絡を受ける。加奈子の失踪をきっかけに元妻と再会した際に加奈子が覚醒剤を所持していた事実を告げられる。

 

加奈子が事件に巻き込まれたと想定し加奈子の行方を藤島は追う。

加奈子の行方を追うほどに、自分の知らない加奈子像が浮かび上がってくる。

 

学校生活を送り国立大学受験のために予備校に通っているはずの加奈子が実は暴力グループに所属し、ドラッグにハマり、ドラッグを友人に売り、売春を斡旋する立場にあった。

 

加奈子は高校でいじめられていた男子を助ける一面もあった。彼をいじめから助け、暴力グループの影をチラつかせることで彼がいじめられないようにした。

 

しかし、それは加奈子の本性の上澄みをすくい取っただけに過ぎなかった。

助けられた男子生徒は加奈子に感謝し加奈子を慕う。慕うことで加奈子を信じるようになる。

 

それが加奈子の戦略だったとも気づかずに。

 

加奈子は彼を暴力グループの集会に誘い、結局、彼はその場で凄惨な目にあってしまう。

 

徐々に見えてくる加奈子の行動には禁忌が一切なく、誰もが加奈子によって狂わされていく。

 

そんな加奈子を一心不乱に追い求める藤島の狂気とも言える執念。

そして、加奈子を探し出すためには厭わない暴力。

その原動力は、加奈子に対する過去の過ちへの贖罪と父親として認めてほしいという気持ちがあった。

 

最後の結末も衝撃的で、初めから終わりまで狂気じみています。

 

 

最後の最後まで気が抜けない展開力と反吐が出そうになるほどの描写に、顔をしかめつつも次のページが気になってしまう時間を忘れる小説でした。

 

この小説の構成として2つの時間軸が交互に展開される。

1つは藤島が加奈子を追う現代の時間軸。

2つ目はいじめられた男子が加奈子との思い出を巡らせる過去の時間軸。

 

現代の時間軸では、藤島が加奈子を追いかけ、加奈子の周辺の人間たちとの関わりによって加奈子像が藤島の視点から作り上げられていく。

また、過去の時間軸では加奈子との直接の思い出や接点がいじめられていた男子の視点から描かれる。

 

この2つの時間軸がクロスすることで小説に、加奈子によりはっきりとした輪郭を与え、面白さを倍増させている。

 

日々のストレスに打ち勝つ刺激が欲しい人にはめっちゃオススメできる小説です。

それでは、グッバイ!