本当に怖いホラー小説。穢れの怖さを知らされる『残穢』【読書屋!】
どうも、こんにちは!ケスイケリーガです!
ホラー小説の中でも怖いレベルがかなり高い小説を紹介します。小野不由美『残穢』です。文章でここまで恐ろしさを表現できるのはすごいです。
まず、この装丁みてください。ページをめくる前からちょっと気味の悪さが出ちゃってますよね。あまり自分の本棚に置いておきたくない装丁だったりします。
2013年の山本周五郎賞の受賞作品
この『残穢』は2013年の山本周五郎賞を受賞している作品であることからもわかる通り小説としての物語性、作品の完成度などかなり高く評価されています。
※山本周五郎賞とは・・・
主に大衆文学・時代小説の分野で昭和期に活躍した山本周五郎にちなみ、すぐれた物語性を有する小説・文芸書に贈られる文学賞である。主催は新潮文芸振興会、後援は新潮社。
実際に読んでみるとなんだかドラマを見ているように物語の1シーン1シーンが頭の中で鮮明に描かれていく印象があります。内容がホラーだけに「終始怖いなぁ」「気味が悪いなぁ」と思いながら読み進めました。
ざっくりあらすじと感想
怪談を得意とする女性作家が主人公。
彼女が書いた小説の読者に怪談を募集したところ多くの情報が集まってくる。読者から届いた怪談の中に「岡谷マンション」に怪奇現象があるという情報があった。
このマンションが物語のメインステージ。恐怖はここを中心に始まっていく。
マンションの怪談といえば、ある部屋に怪奇現象が起こり、調べてみると過去にその部屋で自殺や殺人があったという流れを想像する人は多いかもしれない。
本書の中でも主人公はそう推測するのだが、「岡谷マンション」の場合はマンションの複数の部屋で、さらに隣接する集合住宅でも同様の怪奇現象が起きていた。
主人公はその怪奇現象の発生原因を追求するために、物語は過去を遡るように進んでいく。原因が1つ1つ解明されていくが解明されればされるほど、問題の根が深く広範で手に負えない程強力な穢れの連鎖だとわかってくる。
"穢れに触れる我々も、呪術的な防衛は行う。死者を供養し、土地を浄める。だが、あまりに強いためにそれでもなお残る何かがあるとしたら。「浄められずに残る何か――」時間の流れや呪術的な清めでも浄化しきれなかった残余の穢れ。"
小説のタイトルとテーマについて
小説のタイトルともなっている「残穢」。穢れというものが日本の怪談ではよく出てくる。それは、穢れという考え方が私たちの日常生活に密着していることの現われであると言える。そのため、穢れを落とすための儀式などが生活に根付いている。
地鎮祭はいい例だろう。その土地の穢れを落とし、建設工事がよく行われることを目的とした儀式だろう。
この小説のタイトルは穢れを落とすための儀式を行ってもなお、残り続けてしまうほど強力な穢れを示す。残穢は現代に確かに存在し、強力なパワーがあることを読者に植え付ける。
我々は残穢のせいにしていないだけで、残穢の影響を受けている気になる。そして、その残穢の連鎖は今も広がり続けているかもしれない。
ぜひ、読んでみてください。怖いながらも読みごたえのある小説でオススメです。
それではグッバイ!
<映像化もされてます!めっちゃ怖いです(笑)>
<年間100冊超の読書からオススメ作品を紹介しています>