理不尽な社会の仕組みに巻き込まれるサラリーマンの物語『床下仙人』【読書屋!】
どうも、ケスイケリーガです!
普通のサラリーマンが会社に縛られ社会の理不尽さに翻弄される様をユーモア&フィクションで描く原宏一『床下仙人』を紹介します。
読んだきっかけ
私がよく行く本屋の目立つところに原宏一のコーナーがある。目立つPOPと共に彼の小説が何冊も平積みされていて前から気になっていたので手に取ってみた。
気づいたら、どんどんページをめくる自分がいました。
多くの小説を書いている作家なのですが、私はこの本を読むまで全然知らなくて早く読んでおけばよかったです。もしあなたも彼の小説を読んだことがないのであればモッタイナイ!ぜひ、読んでみて下さい。
通勤時間にサクッとでも、家でリラックスしながらでも、カフェで優雅にコーヒーとともにでも、どんな状況でも彼の描くユーモアたっぷりのストーリーに引き込まれてしまいます。
ざっくりあらすじ
この『床下仙人』は4つの短編作品で構成されている。
どこにでもいる普通のサラリーマンが主人公。
家族ともっと家にいたいのに仕事はしなくてはならないというジレンマに苦しみながらも仕事をこなしていく。自然と家族と一緒に過ごす時間が減っていき、気づいた時には自分が帰る場所がなくなってしまう。
それは、床下に住む男に「夫」であり「父」であるポジションを奪われ家と家族を占領されてしまったからだ。
小説のテーマ
一見現実には無いような設定のようだが、この設定こそ本作品のユーモアを生み出し読者に伝えたい事がクリアに伝えるための要となっている。非現実的な設定にすることで、サラリーマンたちが直面している現実社会の理不尽で納得しがたいリアルを巧妙に描くことに成功しているのだ。
私自身、平日はサラリーマンだ。
家から出たくないと思っても会社には行かなければならなかったり、一緒に遊びたい友達がいても仕事のせいで予定があわなかったりする。
中には、用事があって早く帰りたくても、帰り際に仕事を任せられたりするかもしれない。
それがサラリーマンの「普通」と言ってしまえばそれまでだけれど、ふと冷静になったときにその理不尽さに疑問を持つ瞬間もあるはずだ。私はある。よくある。
彼の作品に登場する人物たちはそんな理不尽さに負けたり勝ったり、様々な表情を見せてくれる。
"おれがほんとうに帰る場所は、どこなんだろう。そんなことを考えているうちに、いつのまにかビル街の会社に到着していた。とくに意識したわけでもないのに、自動的にからだが動いて、乗り換えるべき駅で乗り換え、降りるべき駅で降り、歩くべき道を歩いて辿り着いていた。"
もし、あなたがサラリーマンのリアルを見つめ、サクサク読める面白い小説を求めているなら、ぜひ!原宏一小説おすすめです!
それではグッバイ!
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