二子玉川のバーが舞台。かっこいいマスターに惚れる『バー・リバーサイド』【読書屋!】
どうもー、ケイスケリーガです。
二子玉川在住の作者が描く二子玉川のバーが舞台の小説吉村喜彦『バー・リバーサイド』を紹介します。
<吉村喜彦さんの小説記事はこちら!>
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「サントリーの元社員が書く」お酒の知識満載の小説
二子玉川にはよく行くので、二子玉川が舞台!とPOPが書いてあるのを見て手に取ってみました。
この著者のことは知らなかったのですが、サントリーの元社員だったようです。
本書の中にはお酒の名前や飲み方、お酒に関する背景知識などが満載で流石サントリーって感じがします。お酒の知識を学びたい人にはオススメです。
ざっくりあらすじと感想
舞台は二子玉川のバー、主人公はバーのマスター。
個性豊かなお客さんとのやりとりを描いた作品。
バーのマスターとお客さんという形の物語はそんなに新鮮味はないのだが、二子玉川という土地とストーリーが密接に結びついていることとストーリーの中に出てくるお酒が生き生きとしていることでこの小説に独自性を生んでいる。
6人のお客さんとのやりとりを物語にしているのだが、基本構図はマスターがお客さんの悩みを聞きマスターなりの含蓄のあるアドバイスをその人の悩みないしアドバイスにあったお酒をふるまうという流れ。
このマスターが作るお酒はきっと美味しい
登場人物やお酒の描写などがとってもスタイリッシュでおしゃれ。
まるで二子玉川が上流から下流へと流れていくようにストーリーも文章も心地よく流れていく。その流れの中に、現代で暮らす様々な人の悩みが打ち明けられ、それを美しい画が思い浮かぶように描写されるカクテルとともに解決策を提示していく。
バー・リバーサイドの雰囲気がすごく鮮明に伝わってきて、このマスターの作ったカクテルを飲みたいとも思わされるし、ここで飲むお酒はバーの雰囲気で3倍も美味くなるんだろうなという想像すらさせる。
自分の気持ちに正直になろう
バーのマスターがお客さんに送った言葉がとっても素敵なので引用。
"「無意識ではわかってるんですよ。でも『嫌いと思っちゃいけない』って自分に言い聞かせる。だから、よけい力が入って、『好き』と思い込もうとする。ひとを嫌うのはエネルギーが要りますからね。波風を立てないほうが楽なんです」"
こういう時ってありますよね。好きも嫌いも自然な感情なのに無理やり好きだって、嫌いじゃないって思おうとしてどんどん疲れていく。最後に破綻してしまうのがわかってるのに。
ほんとうは「嫌いだ、良くない」って思っていることがあっても、そう思ってはいけないと思い込み自分の目も心も覆う。そうなってしまったときに最後に苦しむのは自分自身なのだ。自分の本当の気持ちに正直になろう。
あなたはバーのマスターに相談したい悩みはないかな??それでは、グッバイ!
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