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日本語の5・7・5の世界に浸る。美しい日本語を読むなら『俳句世がたり』【読書屋!】

どうも、ケスイケリーガです。

俳句って言葉は知っているけど、俳句に触れたことってあまりないって人は多いんではないでしょうか。5・7・5の世界観を味わえます。小沢信男『俳句世がたり』を紹介します。

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読んだきっかけ

日本語って本当に綺麗だなと思わされてしまうような文章に巡り合ったとき、私は一つの憧れや幸せのようなものを感じる。

巡り合ったことが幸運だなーという幸せと私もそんな文章が書けるようになりたいという憧れがある。

 

日本人に生まれ日本語を話し日本語を読む。

そうであるならばすこしでも多くの日本語の形に触れたい。

古くから多くの人の心を愉しませてきた俳句。

それが自分の肌に合うか否かは別としても、俳句に従事する人の文章を読んでみたいという好奇心はたっぷりある。

 

そういう心持ちで手に取ったのがこの『俳句世がたり』という本だ。

 

ざっくり感想

1927年生まれの筆者が2010年4月から2016年10月までの出来事や思いを様々な俳人の俳句を紹介しつつ説いていく形式の本です。

この本で紹介される俳句に関しては「へーそうなんだ」「この時代にはこんなことがあったのか」等々勉強させられることばかりでした。

俳句にはこんな考え方や表現の仕方、作法や慣例などがあるのかと思わされる分には非常に魅力的な本であることは間違いない。

また、1927年生まれの人間が語る戦中戦後の出来事や事件などが所々で紹介され、俳句の表現だけでなく、その俳句が読まれた背景なども書かれている。

 

多くの俳句が紹介されているが、個人的にその中でも気に入ったものがこれだ。

 

"蟻よバラを登りつめても陽が遠い 鳳作"

 

どう読むかは自由だと思うが、私自身は「目標ってのはいつまで経っても高いところにあるもので、1つの目標を達成したら次の目標が待っている、誰もが努力を継続しなきゃならんぞ」という理解が今の私にはぴったしであった。

 

この本の悪い点も書いておこう

筆者の「世がたり」の部分がどうにも肌に合わないというか好きになれないものが多かった。あくまで主語が「私(筆者)は」であり、どうにもこうにも筆者の感情論が強い。

 

冒頭の「はじめに」にも"私の日記どうぜんなのかもしれません。"とあるが、まさにその通りだった。

 

この部分が好きになれないとしたらこの本を読み進めていくのは少々苦痛かもしれません。

 

たとえば、やたらとでてくる原発批判。

この批判も論理的に筋が通っていれば読むに耐えられるのですが、あたかもお昼のワイドショーのしょうもないコメンテーターが言うようなことがつらつらと書かれていてちょっぴり辟易してしまうのが正直なところ。

 

また、情報社会への批判的な文章も多く、時代錯誤も甚だしくこれからの21世紀を生きる人間には全く響かないことばかりだなと思ってしまいました。

 

私にとっては気に入らないことが他の方には好印象なことは多々あるもの。そういうこと全部含めてこの本の魅力だと思います。

それでは、グッバイ!

 

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